名古屋高等裁判所 昭和28年(う)162号 判決
原判決は被告人は法定の除外事由がなく、労働大臣の許可もないのに小林清子外数名を「女給」として就職方斡旋したと認定判示し営利の目的の有無を区別しこれを夫々職業安定法第三十二条第一項、第六十四条第一号、若くは同法第三十三条第一項第六十四条第二号に該当するものと説明して居り右原判示事実をその挙示の証拠と対照してみれば右にいうところの「女給」とは所論の如く内実売笑行為を為すことを目的とするものであることは充分窺知し得るところである。そして現在直接売笑行為自体を禁止する規定はないものの、公衆道徳上も公衆衛生上も最も好ましくない社会悪の一つとせられている売笑婦は公共の福祉に反するものとして固より職業安定法第二条に所謂職業中には包含せられず国家機関である公共職業安定所に於てかゝる職業への就職の斡旋をなすが如きことのないのは固より当然のことであるが国家は更に同法第六十三条第二号を以て他の何人にもかゝる種類の職業に就かせる為の紹介事業を許さない旨を明定し、たとえそれが種々の社会的原因から発生し現実に存在するものでも此種職業への就職の紹介を禁止して可及的に右職業に従うものを抑制しようとするものであることを明かにして居り、これによつて之を見ると、職業安定法第六十三条第二号や原審が摘示した前記各法条で就職斡旋の目的とせられている職業中には法の抑制しようと企図する職業たる売笑婦をも包含するものであると解すべきもので原審に所論の如き法令適用上の誤りはないので論旨は採用できない。